「救援物資配送×ドローン物流」社会実装事業

■概要
本事業では、地元市町村と連携し、災害時救援物資配送を行うために必要な機材やシステムを開発するとともに、防災訓練での活用を通じて実際に災害が発生したときに運用できる連携体制や運用体制を整備し、新たな地域課題解決モデルとして救援物資配送のドローン物流を社会実装することを目的に実施されました。
参画:大分県・国東市・日田市・ciRobotics株式会社・ブルーイノベーション株式会社・株式会社ノーベル・日本赤十字社

■運用体制の構築
災害自体はいつどこで発生するかわからないため、地元企業自体も被災する恐れがあり、複数の運航者がサービスを提供することが望まれるため、多様な連携での運航体制を作ることが災害時の救援支援につながると考えました。
災害対策本部や消防や警察等との連携を見据えると、現地での運航は各地域にある企業等が活躍することが理想であるため、自治体等と協定を締結し、災害時にドローン空撮等を行う地域の企業が物資運搬業務も担うことを想定した事業モデルを構築します。

■国東市での実証実験
国東市には準天頂衛星システム「みちびき」の衛星安否確認サービス(Q-ANPI)20セットが一部地区に配備されており、これは内閣府が平成30年11月より運用を開始したもので、災害時における避難所の情報をみちびき経由で管制局に送信し、収集する手段として利用できるサービスです。国東市は水防啓発、防災教育等に関する取り組みとして、令和3年1月国東市防災士連絡協議会を設立。防災士同士の連携を深め、防災知識・技術の向上及び自主防災組織・地域の防災リーダーとしての活動を強化する狙い。
国東市国見町櫛来地区へ至る国道213号のトンネル東西2カ所が南海トラフ巨大地震により崩落。電力・通信施設も寸断され、孤立状態となったことから、国東市は直ちに衛星安否確認サービス「Q-ANPI」の使用を決定し、県へドローンによるQ-ANPI配送を依頼した、というシナリオで、国東市および防災士連絡協議会との連携のもと防災訓練を行いました。
往復2.4 kmのルートを総重量24.2 kgの救援物資を配送しました。
(内訳:飲料水(2L)4本、非常食(アルファ米)20食、副食(鯖缶)20食、生理用ナプキン1セット、粉ミルク1セット、紙おむつ1セット)

■日田市での実証実験
令和2年度7月豪雨において、日田市中津江地区では多くの箇所で土砂崩れが発生するなど、道路被害が多数発生したため孤立集落が多く発生しました。日田市は通信手段が被災した際の被災状況の把握が困難であったことを課題としてあげており、これに対して令和3年1月および令和3年3月に株式会社ノーベルが事業主体となり、ドローンによる物資搬送を実証しました。これに続いて、新たなルートを開拓すると同時に、実践的な訓練を実施することで地域連携を強固なものとしました。
令和4年3月20日午後、大分県西部地方にある「万年山~崩平山断層帯」を震源 とするマグニチュード6強の地震が発生。中山間地という地形的な特性からがけ崩れなどによる被害及び孤立集落の発生を懸念し、情報収集を行うとともに搬送ドローンの要請を含めた対応を行う、というシナリオのもと防災訓練を行いました。

●市ノ瀬地区:指定避難所からの拠点間物資輸送(自主避難所への拠点間輸送)
●中川内地区:指定避難所から孤立集落への物資輸送/連絡手段の提供